Blog

<< 「コッパ・エストレーラ(親子サッカー大会)」について | main | 北京五輪を観戦して… >>

日本らしいサッカーとは?

2006年にドイツW杯で日本代表が予選敗退してから、「日本らしいサッカーとは?」という議論が多くされるようになりました。

Jリーグの開幕以降、欧州や南米の監督や選手を招き、日本人選手や指導者に多大なる影響を与え、それにより日々成長を遂げています。しかし、
その反面、欧州風、南米風といったような真似をしているだけで、日本人独自のサッカースタイルというのが見つけられず、またそれを見出し、実践していくことの重要性が語られるために、「日本らしいサッカーとは」ということが議論されているのだと思います。

日本代表監督を例に挙げると、オランダ人のオフト監督は、アイコンタクト、トライアングルなどサッカーの基本的な戦術をあらためて日本人に植えつけました。トルシエ監督は、個人の自由よりも規律を重んじ、組織サッカーを実現しました。ジーコ監督は、ブラジル人らしく「自由」を掲げて選手を率いましたが、W杯では思うような結果を残すことができませんでした。そして、ジーコ監督の後を受けたオシム監督は、日本人の良さを引き出し、「日本らしいサッカー」を確立するためのキーワードとして「考えて走るサッカー」を掲げました。

このようにそれぞれの出身や考え方の違いにより、監督のカラーは異なりますが、そもそも、日本人の良さとは何なのでしょうか?
外国人監督たちが日本人の長所として口にするのが、器用さ・俊敏性・持久力・協調性・真面目さです。

器用さについては、ほとんどの外国人監督は、日本人は技術水準は高いといいます。それは、欧州や南米のトップクラスの選手たちとひけをとらないと。これは、敏捷性や持久力に関しても同様です。

協調性については、自分勝手なことを嫌い、仲間との和を重んじる性格があると分析されます。

そして、真面目さについては、普通、海外の選手たちが嫌がるようなハードなフィジカルトレーニングなども、日本人は真剣に取り組み、与えられたメニューはすべてこなします。これは、名古屋グランパスエイトを率いていたベンゲル監督の著書の中で言われています。

こういう面に関しては、私も何度かブラジルへ足を運んだ際に、現地監督に次のようなことを言われました。

「日本人選手を守備的、ブラジル人を攻撃的ポジションに配置してチームを作り、リーグ戦に出てみないか? きっと良い結果が得られるはずだよ」と話していました。

これはどのようなことかというと、ブラジル人は皆さんのイメージからすると陽気でやや大雑把な性格であると思います。ですから、ブラジル人監督も、前述のハードなフィジカルトレーニングなどをブラジル人選手に課す場合に、真面目に取り組む選手が少なく、大変頭を悩ませます。それとは対照的に日本人は、そういったトレーニングをはじめ、ポジション的に忍耐力が必要な守備に関しても真面目に取り組むため、ブラジル人が苦手な守備を日本人に任せ、攻撃はブラジル人に任せればきっと良い結果が残せるという分析なのだと思います。

これは真面目な反面、自由な発想が少ないとも考えられます。ドイツW杯の直前、今は人生の旅に出てしまった中田英寿さんがテレビのインタビューで「トルシエ監督は、規律・組織を重んじ、ジーコ監督は個人の発想・自由を尊重していますが、どちらの方が日本人にあっていると思いますか?」という質問を受けていました。

これに対し、中田英寿さんは「現在の日本人選手に対しては、トルシエ監督のように規律や組織を重んじて、各選手の仕事を明確にしてもらった方が選手たちの能力が発揮されるかもしれない。ただ、将来日本が世界のトップレベルを目指すのであれば、それでは足りず、やはりジーコ監督がいうところの個人の自由な発想によるプレーができないと、世界との差は縮まらないだろう」と答えていました。

実際に、その後行われたW杯では、日本代表は自由な発想でのプレーを発揮することができず、予選敗退し、前述のインタビューを答えていた中田英寿さんはグランドに倒れこみ、日本と世界の差を痛切に感じていたのかもしれません。

私たちエストレーラFCのスタッフも、このような現実を胸にとめて指導にあたらなければならないと感じています。

やはり子供の頃から「自由な発想で自分で判断できる選手」を育てるためには、目先の勝敗のために、大人の考えを押し付けるのではなく、その瞬間瞬間で、それぞれの選手が自分の判断により、より良いプレーの選択ができるように指導に取り組まなければいけないのだと思います。

もちろん、選手も勝ちたいでしょうし、保護者の方たちも子供たちが勝って喜ぶ姿をみたいと思います。それは私たち指導者も同じです。

しかしだからと言って、選手たちの判断を奪うような言葉、例えば「何でも良いから前に蹴ってしまえ!」とか「サイドに出しておけ!」など、知らず知らずのうちに、このような言葉を選手たちに発してしまっている場面をよく見かけます。

私たち指導者も、時には同様な気持ちにかられることもありますが、やはり普段の練習の時から「試合では練習でやったことを試そう」と話していますから、それを選手たちが取り組むのを見守らなくてはいけません。

現在、エストレーラFCでは、保護者の方たちを中心に「ベテラーノクラス」といって、毎週日曜日の夜、サッカーやフットサルで汗を流しています。サッカー未経験の方がほとんどでしたが、毎週継続することにより、日々上達しています。そして、何より「自由に楽しくエキサイティングにプレー」しています。

やはり大人でも、「自由に自分の発想でプレー」することにより、サッカーやフットサルが楽しく、「またやろう!」という気持ちになり、サッカーにハマっていくのだと思います。

これは子供たちも同じです。大人の勝手な思い込みで、子供たちの判断を奪うのではなく、サッカーにハマっている子供たちの自由な発想によるプレーを暖かく見守り、応援して頂ければと思います。

きっとその延長が日本らしいサッカーの礎になるのだと思います。

微力ながら、エストレーラFCは、自由な発想ができる選手を育てていきたいと考えています。

「日本らしいサッカー」、簡単に答えのでるものではないのかもしれませんが、子供たちのサッカーを通じて、大人たちもサッカーを体験し、サッカーの奥深さを知っていくことが、その答えを見つける近道なのかもしれません。
2009.01.23 Friday | - | -

(C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.